塩麹
塩麹はおいしさと健康効果のある発酵調味料として注目されています。
肉や魚をやわらかくし、野菜と混ぜると甘味とうま味が加わります。
また、焼いたり炒めたりするときれいな焼き色や艶がでます。
自分でも簡単に手作りができます。
米麹と塩、水をなじませておくだけで作れるシンプルな調味料です。
近年作られた調味料と思われる方が多いと思いますが、江戸時代の文献にも載っている伝統食品なのです。
昔、東北地方で利用されていた「三五八」漬けの漬け床(塩・米・麹の割合を3:5:8で作る)に似ているとのことです。
米麹の麹菌の健康効果は「コウジ酸」です。
活性酸素の働きをおさえ、老化防止に役立ちます。
また、皮膚の新陳代謝を高めるために美肌効果も注目されています。
麹菌は発酵の過程で「酵素」を作ります。
しかも麹菌の酵素の種類は多く、たんぱく質を分解します。
それで肉などをやわらかくするのです。
塩麹に含まれる塩分は、米麹200g、塩60g、水300mlの場合、10.7%です。
塩分控えめの味噌と考えてよいです。
塩は減らすと、腐敗と異臭の原因となります。
手作りをする場合は、減塩できますが早めに食べきるようにします。
ふた付きの保存容器に入れて冷蔵庫で保存します。
半年くらいは日持ちします。
もし、大量に塩麹を作った場合は小分けにして冷凍に保存します。
活用は広範囲です。
和食・洋食・中華・スイーツまで使えます。
和食・・・冬瓜の塩麹浅漬・お刺身の塩麹漬け・塩麹照り焼き・塩麹肉じゃが・春雨の塩麹入り酢の物・焼きおにぎり等
洋食・・・チキンの塩麹から揚げ・アサリの塩麹チャウダー・塩麹入りミートソース・ホタテとセロリの塩麹マリネ・塩麹入りスパニッシュオムレツ等
中華・・・塩麹入り青椒肉絲・塩麹入りかに玉・塩麹豚の八宝菜・塩麹焼きそば・蒸し鶏の塩麹酢豚等
スイーツ・・・塩麹アイス・塩麹プリン・塩麹スイカ・塩麹パンケーキ・白玉塩麹黒糖かけ等
手作り塩麹の作り方は次のように簡単です。米麹はスーパーや健康食品店などで販売しています。
■材料
乾燥米麹・・・・・・・・200g
沖縄の海水塩 青い海・・・60g
水・・・・・・・・・・・300ml
■作り方
① 清潔な保存容器に、米麹を入れ手でパラパラの粒状になるまでほぐす。
② ①に「沖縄の海水塩 青い海」を加え、手で均一になるまでよく混ぜ合わせる。
③ ②に水を少しずつ入れ、清潔なスプーンで混ぜ合わせる。塩がボウルの底にたまらないように、よくかき混ぜる。
④ 保存容器に③を入れ、ふたをする。直射日光が当たらない常温におく。
⑤ 1日に1回上下を返すように混ぜる。
⑥ 1週間~10日おいて麹がおかゆのようになり、甘い香りがしたら完成。
※お好みで、完成した塩麹をミキサーにかけるとなめらかになり、食材となじみやすく、焦げにくくなります。
手作りの塩麹は、とてもまろやかで自然の甘味が美味しいです。
家庭料理の味に深みが出て一段と美味しくなります。
初めて使われる方は、塩麹の魅力を発見されることでしょう!
かつお節
かつお節は、日本料理のだし素材として欠くことのできないものです。
世界で一番堅い食品でもあります。
沖縄県民にとってのだしと言えばかつおだしです。
また、「かちゅー湯」というお椀にけずり節と味噌を入れて、湯を注ぐだけでできる簡単な味噌汁を飲むことも多いです。
風邪気味のときや二日酔いによいと昔から飲まれています。
かつお節の産地は、鹿児島県の枕崎市、静岡県の焼津市、高知県の土佐市などです。
県内では本部町、宮古島市伊良部や石垣島などにかつお節工場があります。
種類は荒節と枯れ節があります。
荒節は、「かつおの削り節」や「花かつお」と表示されているものでカビ付けされていないものです。
1カ月ほどで仕上げます。
家庭料理向けで、味噌や醤油などの濃い味にも負けない強い風味があります。
枯れ節は、荒節の表面のタールを取り除いたものに、カビ付けをしたもので、2回以上のカビ付けで枯れ節といい、4回以上のカビ付けをした節を本枯れ節といいます。
3カ月~半年かけて仕上げます。
上品な味でお吸い物やお雑煮のだしに向き、またおひたしの上からかけたりします。
かつお節の栄養成分は、100g当たりエネルギー356kcal、水分15.2g、たんぱく質77.1g、脂質2.9g、炭水化物0.8gカリウム940mg、カルシウム28mg、リン790mg、鉄5.5mg、ビタミンD 6.0μg、食塩相当量0.3gです。(日本食品標準成分表2015年版 )
栄養素の特徴は、必須アミノ酸9種類を全て含んでいること、赤ちゃんの成長に必要なヒスチジンを多く含みます。
けずり節には血圧を正常の保つタウリンが含まれています。
かつお節のうまみはイノシン酸と少量のグルタミン酸です。
かつお節の香り成分は320種類以上あるといわれています。
かつお節の香り成分は、多種類の複合体であるために、人工的にかつお本来の香りを合成することは難しいとされています。
選び方は、枯れ節の場合茶褐色のカビが均等につき、へこみや傷がないもの、尻尾の部分にシワがないものを選びます。
2本を合わせてたたいて鋭利な音がするものを選びましょう。
保存は、かつお節の場合も削り節の場合も、冷蔵庫で保存します。
かつおだしを取ったら、だしの保存は冷蔵庫で1~2日、冷凍庫なら7日くらい保存できます。
沖縄のかつお削り節の消費量は全国一です。
平成28(2016)年は県民1人が1年間にかつお節を108g消費しています。
2位の三重県の約2倍の消費量です。(平成28年 総務省家計調査)
かつお節の製造工程は、かつおを解凍し、頭・内臓を取る、煮る(煮熟)、骨を取る、煙で燻し乾燥させる(焙乾)、かつお荒節の完成、節の表面を削り取る、熟成発酵(カビ付け)、かつお枯れ節の完成の順になります。
先日、本部漁業協同組合のかつお節工場へ視察に行きました。
本部町は「カツオの町」として発展した町です。
本格的なかつお漁が始まったのは1904年です。
同時にかつお節の一大産地でした。
昔はかつお節工場が数軒ありましたが、かつおの漁獲量の減少や漁業者の高齢化と需要の減少により、昔のような活発さはなくなりました。
現在は本部漁業協同組合のかつお節工場のみ(本島唯一)となりました。このかつお節工場では、毎年10月~2月までの5カ月で1年分のかつお節を製造しています。
かつお節工場で働く人は8名~10名です。
近所の主婦が中心で70歳から80歳近くまでの女性たちです。
熟練した技とチームワークでかつお節製造が行われています。
かつおの荒節と焼きなまり節を製造しています。
見学も可能です。
手間暇をかけ愛情を注がれて作られた美味しいかつお節やなまり節は一度食べると忘れられない味です。
今後も本部町の食文化のシンボルとして、かつお節工場が後世に継承されることを願いました。
日本料理は、世界で広がっています。
その中でも2016年フランスにかつお節工場が稼働し、本格的な日本料理のだしで吸い物や煮物などが作れるようになりました。
更に2017年には焼津市産のかつお節が欧州連合(EU)に輸出できるようになりました。
世界的にも日本料理のだし素材として知られるようになったかつお節ですが、沖縄料理の中にも上手に取り入れていきたいと思います。
沖縄では、豚だしと合わせて料理(イナムドゥチ、ジューシーなど)に使うことが多いです。
一番だしのとり方は、水(軟水)1ℓに対してかつお削り節を30g用意します。
鍋に水を入れ加熱し、沸騰直前に火を消して削り節を入れます。
1分~2分浸し、濾します。
一番だしの完成です。
吸い物、だし巻き卵、茶碗蒸しに使います。
最近では、子どものときからかつおだしの美味しさや香りを覚えてもらおうと、食育講座が開かれるようになりました。
皆様のご家庭でもかつおだしを取ってうまみの効いたおいしい料理で、健康に役立てましょう!