七味唐辛子
七味唐辛子は、そばの薬味として使われることが多い調味料です。
【歴史】
日本独特の調味料で、1626年江戸薬研堀において漢方薬を研究していた中島徳右衛門が発明しました。
三代将軍徳川家光に献上し気に入られたそうです。
江戸で生まれた七味唐辛子は、各地に広まり京都府、長野県の名産物になる程になりました。
七味唐辛子とは関西地域での呼称でした。
江戸・東京では「七色唐辛子(なないろとうがらし)」という名で販売していましたが、1946年に業界全体で「七味唐辛子」に統一されたそうです。
東京・浅草の「やげん堀」、京都・清水の「七味家」、長野・善光寺「八幡屋礒五郎」が老舗です。
やげん堀、七味家、八幡屋礒五郎の七味唐辛子は、日本三大七味唐辛子と言われています。
【原料】
主原料として唐辛子、副原料として黒ごま、麻の実、粉山椒、陳皮(ちんぴ:みかんの皮を干したもの)、芥子の実(けしのみ)、青のりまたは紫蘇(しそ)などの7種類を調合したものです。
これらの副原料は生産者によって多少の違いがあります。
唐辛子のみの調味料は「一味唐辛子」と言います。
因みに、七味唐辛子専門店では好みに合わせて調合したものを購入することができます。
【七味のアレンジ】
「ゆず七味」・・・ゆずの皮を乾燥させて七味唐辛子に混ぜたものです。
爽やかなゆずの香りと風味が楽しめます。
「黒七味(くろしちみ)」・・・京都・原了郭(はらりょうかく)で製造されており、漢方処方からできあがったと言われます。
黒七味は丁寧に手揉みをして作られます。
赤唐辛子や山椒の色が見えなくなるまで揉み込むことで、黒味を帯びた色になるそうです。
七味唐辛子よりも香りがよく山椒の辛みとコクを感じます。
牛丼、天ぷら、カレーなど幅広く使うことができます。
【利用法】
そば、うどん、ラーメンなどの麺類や牛丼や豚汁、湯豆腐、水炊きなどの薬味や吸い口として使われます。
その他にも次のような利用法があります。
・刺身のつけ醤油やポン酢に入れる。
・味噌カツソースに振りかける。
・クリームチーズやマヨネーズに混ぜる。
・ドレッシングやマヨネーズに混ぜる。
・焼き鳥に振りかける。
・野菜炒めに振りかける。
・パスタやグラタンなどに振りかける。
・味噌汁や鍋物などに振りかける。
【保存】
七味唐辛子の保存方法は、開封後は、吸湿・虫害・退色を防ぐため、キャップをしっかり閉めて冷凍庫に保管します。
保存期間は約1年です。
【栄養・効果】
メインの原料唐辛子にはカプサイシンが含まれています。
発汗を促したり、代謝を活発にしたりします。
その他の原料については次のような効果があります。
山椒・・・・・新陳代謝が活発化、鎮痛効果、整腸作用
ごま・・・・・二日酔い予防、抗酸化作用、動脈硬化の予防、美肌効果
芥子の実・・・抗酸化作用、骨や歯の強化、生活習慣病の予防
陳皮・・・・・抗酸化作用、風邪の予防、リラックス効果
麻の実・・・・抗酸化作用、食欲増進効果、滋養強壮、体臭予防
青のり・・・・抗酸化作用、老廃物の排出効果、血流促進作用
紫蘇・・・・・抗酸化作用、抗菌、殺菌効果
【料理】
「鶏肉の七味唐辛子焼き」をご紹介します。
お弁当のおかずやお酒のおつまみに向きます。
◆材料(4人分)
鶏もも肉(唐揚げ用)・・・・・250g
酒・・・・・・・・・・・・大さじ1
沖縄の海水塩青い海・・・小さじ1/2
おろし生姜・・・・・・・・小さじ1
おろしにんにく・・・・・・小さじ1
七味唐辛子・・・・・・・・小さじ1
片栗粉・・・・・・・・・・大さじ3
ごま油・・・・・・・・・・大さじ2
ねぎ・・・・・・・・・・・・・少量
◆作り方
① 鶏もも肉に、酒、沖縄の海水塩青い海、生姜、にんにくを揉み込み、冷蔵庫で30分程寝かせる。
② ビニール袋に七味唐辛子、片栗粉を入れて合わせ、①の鶏肉にまぶす。
③ フライパンにごま油を入れ熱し、鶏肉の皮面から焼き、焦げ目がついたら弱火にして、裏に返し、蓋をして3分位蒸し焼きにする。
④ 蓋を開け、中火にして、両面にこんがり焼き色がつくまで焼く。
⑤ 器に盛り、上から小口切りにしたねぎを散らす。
寒さに向かうこの時期、七味唐辛子をいろいろな料理に取り入れて温まりましょう。
スンシーイリチー
「ミズイモ」(サトイモ科)
沖縄では、収穫の際に親芋にたくさんの子芋がつくことから子孫繁栄の縁起物とされ、お正月や生年祝いなどのお祝料理や行事料理に欠かせない食材です。
薄紫色の芋と茎(方言で「ムジ」)を食用にします。
水田で栽培されるため沖縄本島の方言では「田芋=ターンム」と呼ばれています。
【生産地・伝来】
原産地は熱帯アジアです。東南アジアやインドにも分布しています。
サトイモの種類の多年生作物です。
高温多湿の気候に適しています。
沖縄県内では金武町や宜野湾市が主な産地です。
沖縄への伝来は明らかではないのですが、18世紀の初め頃から栽培されていたようです。
【品種】
品種は在来種の赤茎種と、粘りが特徴の白茎種がありますが、収量の高い白茎種が多く栽培されています。
【出荷まで】
周年収穫されますが、旬は12月から4月頃です。
ミズイモは生のままでは傷みやすい性質のために、生産者が蒸してデンプン含有量や繊維質、色、風味などを検査してから出荷します。
外国産の冷凍ミズイモが輸入されていますが、沖縄県産の方が、味・香り・色などの食味の点で、消費者からの評価が高いようです。
【保存方法】
最近では、ミズイモの収穫後、煮て急速冷却後真空パックし、殺菌した「煮田芋」が県内スーパーで販売されています。
賞味期限は2週間です。
従来のミズイモを茹でたものは2、3日しか保存できません。いずれも冷蔵庫で保存します。
【選び方】
選ぶときのポイントは、蒸された状態のものでキズや変形のないもの、芋の表面にヒビが入ってハリのあるものを選びましょう。
でんぷん含有量が多いものはヒビが入ります。
【栄養成分】
ミズイモは、エネルギーが多く、食物繊維、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、葉酸なども含まれています。
「ミズイモ 球茎 水煮」可食部100g当たり
エネルギー110kcal、水分72.0g、たんぱく質0.7g、脂質0.4g、炭水化物26.1g、食物繊維総量2.5g、ナトリウム5mg、カリウム270mg、カルシウム79mg、マグネシウム23mg、リン35mg、鉄1.0mg、亜鉛0.2mg、ビタミンA 0μg、ビタミンB1 0.16 mg、ビタミンB2 0.02 mg、葉酸27μg、ビタミンC 4mg、食塩相当量0g
(上記の出典元:『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』)
【料理】
沖縄料理には、ミズイモの粘りを生かした料理が多く、ターンムでんがく(きんとん風甘煮)、ドゥルワカシー(ミズイモとミズイモの茎、豚肉などを豚だしで煮込む料理)、空揚げ、雑炊、飲み物などがあります。
茎は、汁物、炒め物、ごま和えなどの料理に使います。
お菓子では田芋パイ、田芋のチーズケーキ、田芋まんじゅうなどがあります。
ミズイモは一般的には蒸し煮したものを市販していますが、料理に使う際、もう一度ゆでこぼしを行えば、えぐ味(ホモゲンチジン酸とシュウ酸)が取れますのでお勧めします。
「ターンムでんがく」のレシピをご紹介します。餅のような粘り気が美味しい沖縄料理です。
◆材料(4人分)
ミズイモ(ゆでたもの)・・・・・400g
熱湯・・・・・・・・・・・ 2カップ
やさしい砂糖・・・・・・・・・・80g
沖縄の海水塩青い海・・・・・・・少々
みりん・・・・・・・・・・・大さじ1
レモンの皮またはみかんの皮・・・少々
◆作り方
① ミズイモの皮をむいて、2cm角に切る。たっぷりの熱湯で5分ゆで、ざるに取り水気を切る。
② 鍋に分量の熱湯、ミズイモを入れ10分程弱火で煮て、ミズイモがやわらかくなったら、やさしい砂糖、沖縄の海水塩青い海を加える。焦がさないように時々混ぜながら弱火でゆっくり煮る。
③ ミズイモが煮くずれしてきたら、みりんを加えて強火にし、つやを出して仕上げる。
④ 器に盛り、レモンの皮またはみかんの皮のみじん切りを散らす。
今が旬のミズイモを行事料理だけでなく、普段の食事にも食して楽しみましょう。