ごま油
ゴマは油脂を取るために初めて使われた植物のひとつです。
ゴマから作られるごま油は、中国、韓国、日本などの料理に幅広く使われています。
香ばしい香りは食欲をそそり人気があります。
【歴史】
インダス文明(前3000年~前1500年頃)ですでに主要な油用植物として栽培されていて、紀元前2500年頃にはメソポタミア文明でも使われていました。
絶世の美女で知られるクレオパトラも2000年以上前に、化粧品や若返りのオイルとして使っていたと言われます。
日本には奈良時代に中国、韓国を経てゴマと搾油技術が仏教とともに伝わり、精進料理の食材として用いられていたそうです。
また、灯油用としても使われていました。
江戸時代には生産量が増え、江戸前天ぷらの揚げ油としても使われ一般に広まったようです。
【原料】
原料はゴマの種子です。
ごま油はほとんどが輸入したゴマで作られています。
ゴマの年間輸入量と消費量は、99.9%が輸入され国内供給量が0.1%です。
日本の年間ゴマ輸入量は14.9万トンで、ナイジェリア、タンザニアなどから輸入しています。
(上記の出典元:財務省貿易統計2017年)
【種類と使用法】
ごま油はゴマを焙煎して搾ったものと、焙煎しないで生のままゴマを搾ったものがあります。
ゴマを焙煎して作るごま油は、焙煎、蒸煮、圧搾、濾過の製造工程を経て作られ、2種類に分類されます。
① 焙煎ごま油・・・一般的なごま油で、高温焙煎して搾るので、香りが強く濃い茶色です。ナムル、炒め物、鍋物、揚げ物、マリネ、ドレッシング、たれなどに使えます。
韓国、中華料理など食欲をそそる香りづけに使います。
② 低温焙煎ごま油・・・低温で時間をかけてじっくり焙煎されているので、甘く香ばしく、薄い琥珀色です。
煮物、炒め物、和え物、汁物などに程よい香りづけをしたい場合に使います。
通常のものと違い、ゴマを焙煎しないで作るごま油は、「太白(たいはく)ごま油」と言います。
ゴマを生のまま搾ったもので、ごま油特有の色と香りがありません。
ただゴマのうまみが凝縮された奥深い味わいがあります。
天ぷらやだし巻き卵、ケーキなどに使います。
食以外の利用法は、マッサージ、うがい、頭皮のケア等にも使われます。
【抽出方法と選び方】
ごま油の抽出方法には「高温圧搾法」、「低温圧搾法」、「溶媒抽出法」の3通りあります。「高温圧搾法」は、200℃近い温度で原料から約60~70%油を搾り取ります。
これが「一番搾り」と呼ばれます。風味があり料理に最適な油です。
『低温圧搾法』は、昔ながらの方法で原料からわずか20~30%しか油を搾り取れない方法です。
低温処理なので風味や栄養素が逃げず、添加物が少ない安全な抽出方法です。低温圧搾法で取れた油はとても貴重な油です。
「溶媒抽出法」は『ヘキサン』という化学薬品を使い、何度も数百度の高温にさらします。
化学的な抽出には健康上の不安があります。ごま油を購入する際は、商品の裏面の表示をよく見て、安全性の高い圧搾法で製造されたものを選びましょう。
【保存】
直射日光の当たらない高温多湿を避けた場所で保存します。
開封後はしっかりと蓋を閉めるようにします。
4℃以下になると白濁したり固まったりすることがありますが、温めると元の液状に戻ります。
【栄養・効果】
脂質が多くエネルギー源となります。ビタミンEとビタミンKが含まれています。
「ごま油」 可食部100g当たり
エネルギー921kcal、水分0g、たんぱく質0g、脂質100g、炭水化物0g、食物繊維総量0g、ビタミンE(α-トコフェロール) 0.4mg、ビタミンK 5μg、ビタミンC 0 mg、食塩相当量0g
(上記の出典元:『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』)
「ゴマリグナン」という抗酸化成分が含まれているので、熱を加えても酸化されにくいという特徴があります。加熱用に向く油です。
脂肪酸組成は、リノール酸43.9%、オレイン酸39.7%、その他は飽和脂肪酸です。
① リノール酸・・・身体で合成されないので食べ物から摂取しなくてはならない必須脂肪酸です。しかし過剰摂取すると、体内で炎症を起こしアレルギー症状を悪化させます。
② オレイン酸・・・酸化されにくい脂肪酸で、老化を予防し、肌のコンディションを整えます。
【料理】
ここでは、どなたにも簡単に作れる「ごま油とお塩のおにぎり」をご紹介します。美味しいので朝食やお夜食にどうぞ。
◆材料(2個分)
温かいごはん・・・・・・・・ 300g
青ネギ・・・・・・・・・・・・15g
沖縄の海水塩青い海・・・小さじ1/2
ごま油・・・・・・・・・ 小さじ2
白ごま・・・・・・・・・ 小さじ2
◆作り方
① 青ネギを小口切りにする。
② ボウルにご飯、青ネギ、沖縄の海水塩青い海、白ごま、ごま油を入れて混ぜる。
③ 2等分にしてラップを使って強めに握り、2個のおにぎりを作る。
寒さが増してくるこの頃は、香ばしいごま油を鍋物などに入れて香りを楽しみましょう。
「サヤインゲン」(マメ科)
サヤインゲンとはインゲンマメの若いサヤのことです。
沖縄では冬から春にかけて栽培され、この時期に食べられる新鮮な野菜としてスーパーに並んでいます。
生産量ランキングでは沖縄県は第5位となっています。(2016年)
【生産地・伝来】
原産地は中央アメリカです。(南アメリカのメキシコ近辺との説もある)江戸時代に隠元禅師が中国から日本にもたらしたのが始まりと言われています。
沖縄県内ではほぼ全島域で栽培されています。
主な産地は、八重瀬町、糸満市、名護市です。
【主な品種】
「ケンタッキーワンダー」、「サーベルインゲン」、「平サヤインゲン」、「モロッコインゲン」、「ジャンボインゲン」等たくさんの品種が栽培されています。
【旬の時期】
12月上旬から4月下旬が収穫の時期です。
【選び方のポイント】
サヤの先がピンとしてしおれていないもの、サヤの両端がしっかりしているもの、表面に豆の形が出ていないもの、みずみずしくハリがあるもの、緑色が鮮やかでしっとりとしたものが新鮮なものの特徴です。
【保存方法】
高温、乾燥に弱く、すぐにしなびてしまうので、ビニール袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存します。
冷凍する場合は、固めにゆでて冷ましてから冷凍庫で保存します。
【食べ方】
さっとゆでてお浸しやサラダ、和え物、炒め物、天ぷら等がおすすめです。
【下ごしらえとゆで方】
一昔前までは、サヤインゲンには固い筋がありましたので、筋を取る作業が必要でした。
今日のものは品種改良により、ほとんど筋を取らなくても気にならない程になりました。
たまにしっかりと筋があるものがあったりしますので、念のために1、2本試しに両端をポキッと折って筋がないか確認しましょう。
筋がなければ、付け根のヘタ部分を切り落とします。反対側のヒゲは付けたままでいいです。
ゆでる時は、水1リットルに対して2%の塩(大さじ1強)を入れ、沸騰した湯にサヤインゲンを投入します。
ゆで時間は、サヤが細いものや薄い場合は2分程度ゆで、太いものは3~4分程度ゆでます。
ゆであがったら、すぐに冷水や氷水で冷まします。
一気に冷やすことで色が鮮やかなまま仕上がります。
そして、冷めたらすぐにザルにあげます。
【栄養成分】
サヤインゲンは、ビタミンB群やβカロテン、食物繊維が含まれています。
また、カリウムやカルシウム、鉄などのミネラルもバランスよく含まれた緑黄色野菜です。
「サヤインゲン」可食部100g当たり
エネルギー23kcal、水分92.2g、たんぱく質1.8g、脂質0.1g、炭水化物5.1g、食物繊維総量2.4g、ナトリウム1mg、カリウム260mg、カルシウム48mg、マグネシウム23mg、リン41mg、鉄0.7mg、亜鉛0.3mg、β-カロテン当量590μg、ビタミンE 0.6mg、ビタミンK 60μg、ビタミンB1 0.06 mg、ビタミンB2 0.11mg、葉酸50μg、パントテン酸0.17mg、ビタミンC 8mg、食塩相当量0g
(上記の出典元:『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』)
βカロテンは、抗発がん作用があり、体内に入るとビタミンAに変換されてドライアイの予防や皮膚粘膜の健康維持などの働きがあります。
カリウムは、ナトリウムを排泄するので高血圧に効果があります。
また、利尿作用があるのでむくみ解消にも役立つといわれています。
【料理】
沖縄では、サヤインゲンと魚肉ソーセージの天ぷらやポークランチョンミートとの炒め物などに使います。
和食ではちらし寿司や炒り鶏などのトッピングなどで彩りをプラスしたい場合にも使います。
「サヤインゲンの炒め物」のレシピをご紹介します。彩りのきれいなおかずです。
夕食の1品にお勧めします。
◆材料(4人分)
サヤインゲン・・・・・・・・・・ 250g
ロースハム・・・・・・・・・・・・80g
コーン(缶詰)・・・・・・・・・・ 50g
ニンニク・・・・・・・・・・・・・1片
沖縄の海水塩青い海・・・・・小さじ1/2
コショウ・・・・・・・・・・・・・少々
オリーブオイル・・・・・・・・大さじ1
バター・・・・・・・・・・・・・・10g
◆作り方
① サヤインゲンはゆでて4cm長さに切る。ロースハムは短冊切りにする。コーンは水気を切る。ニンニクは薄切りにする。
② フライパンにオリーブオイルを熱し、ニンニクを炒めて香りが出たら、ロースハム、サヤインゲン、コーンの順に入れて炒める。
③ 沖縄の海水塩青い海、コショウで味をととのえたら、風味が飛ばないように最後にバターを入れて軽く混ぜます。
今が旬の栄養バランスのよいサヤインゲンを楽しみましょう。