ミートソース
イタリア料理と言えばパスタ、その中でもスパゲッティ・ミートソースは人気メニューです。イタリアでは「ラグー・アッラ・ボロニェーゼ」と言われ、「ボロネーゼ」と略されます。「ラグー」はフランスの煮込み料理のことです。ボロネーゼという言葉は「ボローニャ風の」という意味です。ボローニャとは、イタリア北部の都市でボロネーゼ発祥の地です。ボローニャの富裕層がラグーをもとに、肉や野菜、ワインを使用して作らせたことが起源と言われています。
【日本のミートソース】
日本で初めてミートソースを提供した店には、いろいろな説があります。新潟県新潟市の「ホテルイタリア軒」や、東京・銀座の「煉瓦亭」、兵庫県宝塚市の「アモーレ・アベーラ」が日本初という説があります。
他には、イタリア移民がアメリカに持ち込んだものを、進駐軍が日本に持ち込み日本人の舌に合うようにアレンジされたものという説もあります。
日本で初めてミートソースの缶入りが製造・販売されたのは1959年です。その後、家庭にミートソースが普及するようになりました。2019年2月15日からは、時代の変化に対応し、缶入りから電子レンジ対応のパウチ入りパスタソース「ミートソース(フォン・ド・ボー仕立て)」として販売されました。
【ミートソースとボロネーゼの違い】
まず、大きく違うのは、使う麺です。日本ではミートソースに絡める麺は「スパゲッティ」です。ボロネーゼは「タリアテッレ」という平麺が使われます。また、ボロネーゼは、香味野菜と肉をオリーブオイルで炒めて、赤ワインとトマトで煮込み、塩こしょうで調味します。ミートソースは、香味野菜とひき肉をオリーブオイルで炒めて、トマトの水煮で煮込み、塩こしょうの他にケチャップや砂糖、ウスターソースなどで甘味を加えて調味します。ボロネーゼは赤ワインの渋みのある肉ベースの味に対して、ミートソースはケチャップなどの甘味のあるトマトベース味になります。
【保存方法と解凍方法】
冷凍する場合は、しっかりと粗熱を取ってからにしてください。ジッパー付きの保存用袋に入れて、できるだけ薄く平らにして空気を抜いて急速冷凍しましょう。
解凍する場合は、①袋のまま流水の中で解凍する。②湯煎にかけて解凍する。③袋から取り出して鍋に移し弱火で解凍する。④電子レンジで解凍する場合は袋から耐熱容器に移して、ラップをかけてから加熱します。
【栄養】
エネルギーと炭水化物がやや多く、ナトリウム、カリウム、β-カロテンやビタミンB1とビタミンCが含まれています。
「ミートソース(缶詰及びレトルトパウチ製品)」 100g当たり
エネルギー101kcal、水分78.8g、たんぱく質3.8g、脂質5.0g、炭水化物10.1g、ナトリウム610mg、カリウム250mg、カルシウム17mg、リン47mg、鉄0.8mg、β-カロテン当量530μg、ビタミンB1 0.14mg、ビタミンB2 0.05mg、ナイアシン1.4mg、ビタミンC 6mg、食塩相当量1.5g
(『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』)
【ミートソースの作り方】
家庭で作りやすいレシピをご紹介します。パスタにかける以外にご飯にかけたり、パンにはさんだり、塗ってトーストにしたり、レタスで包んで食べてもおいしいです。
◆材料
合いびき肉・・・・・・・・・・200g
玉ねぎ・・・・・・・・・・・・1個
トマト缶(カット)・・・・・・ 1缶
ニンジン・・・・・・・・・・ 1/2本
にんにく・・・・・・・・・・ 3かけ
戻した乾しいたけ・・・・・・・3個
オリーブオイル・・・・・・大さじ2
小麦粉・・・・・・・・・・大さじ1
コンソメスープ・・・・・・カップ1
ウスターソース・・・・・・大さじ1
トマトケチャップ・・・・・大さじ2
しいたけの戻し汁・・・・・・ 50ml
沖縄の海水塩青い海・・・小さじ1強
こしょう・・・・・・・・・・・少々
ナツメグ・オレガノ・・・・・ 各少々
◆作り方
① 玉ねぎ、ニンジン、にんにく、しいたけはみじん切りにする。
② 鍋にオリーブオイルを熱し、にんにく、ひき肉、玉ねぎ、ニンジン、しいたけを加えて炒める。
③ ②に小麦粉を振り込み、軽く炒める。トマトとコンソメスープ、ウスターソース、ケチャップを加えて、しいたけの戻し汁を加え、沖縄の海水塩青い海を加えて15~20分ほど煮込む。
④ ③にとろみがついたらこしょう、ナツメグ、オレガノで味を調えて3分ほど煮詰める。
【アレンジメニュー】
オムレツ、ドリア、グラタン、コロッケなどの具材として使えます。
【ミートソースにかける調味料やトッピング】
タバスコ、パルメザンチーズ、ラー油、パセリのみじん切り、揚げナス、ゆで卵など。
ミートソースを手作りして、アレンジして楽しみましょう。
「ヨモギ」(キク科 ヨモギ属)
日本では全国的によもぎ餅(草餅)の緑の材料として使われることが多い食材です。
地下茎を伸ばして繁殖するために群生することが多く、野原、畑地、道端に自生している多年草です。
中国や韓国、東南アジアなどにも分布している強健な野草です。
沖縄県の主な産地は八重瀬町(具志頭)です。沖縄ではヨモギを山羊汁や沖縄そば、ジューシーに入れます。
独特の香りがあり、お灸のもぐさ(お灸を据える際の燃やす材料)として使われます。
中国漢方では「艾葉(ガイヨウ=燃やす葉)」と呼ばれ、食べる、飲む、浸ける、香りを嗅ぐ、もぐさにする等、万能薬として珍重されて来ました。
【方言名】
沖縄の方言名はフーチバーと呼ばれ、「フーチ(病気)」を治す「バー(葉)」という意味です。
【種類】
日本全国では30種類以上もあります。沖縄のヨモギは本土産のものと違い「ニシヨモギ」という品種です。苦味が比較的少なく、アクが少ない柔らかい品種です。
【旬と選び方のポイント】
1年中採れますが、食用とする場合は固いものではなく、柔らかい若葉を選びます。若葉が採れる時期は2~5月です。葉の色がみずみずしい鮮緑色を選びます。
【調理のポイント】
独特の香りが強いので大量には使わない方がいいです。また繊維質が多いので、固いところは取り除きます。薬効成分なども多く、自然の中で育っているものはアクが強いです。
アクを抜くために茹でます。沸騰している湯に塩と重曹を入れて、ヨモギを2分程茹でます。茹で上がったら、すぐに冷水に取り20分程さらします。
【保存】
摘みたての新鮮なヨモギを調理して食べるのが一番香りを楽しむことができ
ますが、大量に採取した場合は茹でて冷蔵・冷凍保存しておくことができます。
◆冷蔵保存の場合
湿った新聞に包んで、立てた状態で冷蔵庫に保存します。2~3日で使いましょう。
◆冷凍保存の場合
一度茹でて、水気を切ってから保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍します。使う時は、自然解凍でおひたしや和え物、汁物に使います。
【栄養成分】
葉物野菜の中では水分が少なく、たんぱく質、食物繊維が多いです。
ミネラルではカリウム、カルシウム、リン、鉄に富み、ビタミンはβ-カロテン、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCが豊富です。
「ヨモギ 生」可食部100g当たり
エネルギー46kcal、水分83.6g、たんぱく質5.2g、脂質0.3g、炭水化物8.7g、食物繊維総量7.8g、ナトリウム10mg、カリウム890mg、カルシウム180mg、マグネシウム29mg、リン100mg、鉄4.3mg、亜鉛0.6mg、β-カロテン当量5300μg、ビタミンK 340μg、ビタミンB1 0.19mg、ビタミンB2 0.34mg、ナイアシン2.4mg、ビタミンB6 0.08mg、葉酸190μg、パントテン酸 0.55mg、ビタミンC 35mg。
(『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』)
ヨモギに含まれている不溶性食物繊維は、便秘の予防、ダイエット効果、有害な物質を吸着し対外へ出す働きがあります。β-カロテンは抗発ガン作用や免疫賦活作用があります。β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、皮膚・粘膜の健康維持や視力の維持などの生理作用があります。ビタミンKは止血作用があります。
【食用以外の効用】
沖縄の民間療法として、ヨモギの葉を絞った汁を飲むと高血圧によいとされています。ヨモギは爽やかで品のある香りが特徴です。シオネールやβ-カリオフィレンなどの香り成分が含まれています。
ヨモギの香りを嗅ぐとリラックスした気分になるのはシオネールの効果です。β-カリオフィレンにはホルモンバランスを整える働きがあります。他には、痛み、出血、皮膚病、婦人病などの効能があるそうです。作用は余分な水分を排出し、体を温め、血行を良くすることによって効果を発揮します。ヨモギは種類が多いのですが、薬効効果はほぼ同じです。
【料理】
沖縄料理の「フーチバージューシー(ヨモギ雑炊)」をご紹介します。
◆材料(4人分)
米・・・・・・・・・・・・・・1カップ
鰹だし・・・・・・・・・・・・4カップ
豚だし・・・・・・・・・・・・4カップ
豚バラ肉・・・・・・・・・・・・ 100g
ヨモギの葉・・・・・・・・・・・・50g
沖縄の海水塩青い海・・・小さじ1と1/2
醤油・・・・・・・・・・・・・小さじ1
◆作り方
① 米は30分前に洗って水気を切っておく。
② ヨモギの葉は、水の中でもみ洗いする。
③ 豚バラ肉は丸ごと茹でて食べやすく切る。
④ 鍋に米と鰹だし、豚だし、豚バラ肉、ヨモギを入れて混ぜ合わせ、火にかけて沸騰するまでは強火で煮て、アクを取って弱火で煮る。米が炊けて柔らかくとろみがついてきたら、沖縄の海水塩青い海、醤油で調味し5分程弱火で煮て、火を止める。
いろいろな栄養が豊富で、野草としても採取しやすい「ヨモギ」を食べて健康維持に役立てましょう。