片栗粉(かたくりこ)

片栗粉(かたくりこ)

片栗粉は、本来はカタクリ(ユリ科)の球根からとったでんぷんですが、生産量が少なく、市販品のほとんどはジャガイモ(馬鈴薯=ばれいしょ)でんぷんです。調理(料理のとろみつけや餡かけ、唐揚げの衣、麺類など)や和菓子の材料として使用されます。調理では、粉のままでなく水溶きして加え、とろみをつけることが多いです。しかし近年では、水溶きせず直接料理に振りかけるだけでとろみがつく「顆粒片栗粉」や、「米粉入り片栗粉」も製造・販売されています。

【歴史】

昔は文字通り、日本北東部の原野などに自生するカタクリの根茎から製造しました。江戸時代の中期、奈良県宇陀市の森野旧薬園では、薬園の近隣にカタクリが自生していたため、専売権を得て片栗粉を製造し、幕府に献上していたといわれています。江戸時代、片栗粉は食用だけではなく、消化がよいことから病後の滋養薬としても使われていました。しかし、カタクリから作られるでんぷんは少量でしたので、カタクリが多く採取されたことで、江戸時代末期には自生カタクリが激減しました。このような中、明治時代以降、北海道開拓が進み、ジャガイモ栽培が奨励され、ジャガイモでんぷんが安価で大量に出荷されるようになったことにより、その後片栗粉はほとんどジャガイモでんぷんに切り替わりました。名称はそのまま残りました。

【原料ジャガイモの生産地】

国産だと北海道産のジャガイモが主流です。海外産の原料のジャガイモは、ドイツ、デンマーク、オランダ、フランス産が主です。

【片栗粉の特徴】

①   糊化する温度が低い:火を止めた後に片栗粉を加えるだけでとろみがつきます。

②   粘度(とろみ)が高い:冷めにくく、保温状態になります。調味料が食材によく絡みます。熱い料理を好む中国ではあんをからめた料理を溜菜(リュウツァイ)と呼び、八宝菜や酢豚などの料理に片栗粉を利用します。

③   透明度が高い:料理の食材の色を損ねないです。

④   食材の表面をコーティングする:魚や肉の旨味や栄養を閉じ込めます。

⑤   片栗粉は無味無臭です。

⑥   仕上がりに艶を出します。

⑦   油脂を乳化させ、脂っこさを軽減します。

⑧   料理に加える調味料の種類によって固さが変わります。油と砂糖は固くなり、酢と塩は柔らかくなります。

【使い方】

・片栗粉は水に溶けにくい性質がありますので、生地を練る際の打ち粉としても使います。

・とろみをつける場合は、粉の状態ですとダマになりやすいので、混ざりやすくするために、先に水に溶いておき、少量ずつ混ぜてとろみをつけます。とろみがついた片栗粉は色が白から透明になります。料理の色彩を邪魔しないのも特徴です。

・片栗粉は水に溶けにくい性質ですので、時間が経つと片栗粉と水が分離しますので、使う直前に混ぜましょう。

・片栗粉を使って揚げ物をすると、衣は白く、歯ごたえはカリッとした食感になります。

・肉や魚の表面に片栗粉を薄くつけて加熱すると、旨味を閉じ込めて、口当たりをよくするという効果があります。

・ひき肉や魚のすり身などのつなぎとして加えることで、バラバラになることを防ぎ、固める役割をします。

【保存】

開封前は、高温多湿な場所を避けて、直射日光が当たらず、乾燥している場所に置きましょう。開封後は、湿気や臭い移りやコナダニ対策のためにも、片栗粉の袋ごと密閉容器や保存用袋に入れて、冷蔵庫で保存しましょう。

【栄養成分】

でんぷんによる炭水化物がほとんどで、タンパク質はわずかしか含みません。通常、料理に片栗粉を1回用いる際は、10g程度なのでダイエットには大きく影響することはありません。

「じゃがいもでんぷん(片栗粉)100g当たり」

エネルギー330kcal、水分18.0g、たんぱく質0.1g、脂質0.1g、炭水化物81.6g、食物繊維総量0g、ナトリウム2mg、カリウム34mg、カルシウム10mg、マグネシウム6mg、リン40mg、鉄0.6mg、銅0.03mg。

(『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』)

【料理】

 中華料理の八宝菜、酢豚、麻婆豆腐、かに玉などにとろみつけとして用いられます。また、揚げ物の調理粉としては唐揚げや竜田揚げにします。ジャガイモでんぷん(片栗粉)を原料とした片栗粉麺があります。小麦粉ではなくジャガイモでんぷんを原料とした「でんぷんうどん」が北海道の農村地帯の郷土料理としてあります。その他に炒り卵にひとつまみの片栗粉を入れてフワフワの食感にしたり、加熱したジャガイモに片栗粉を入れて練り、焼き上げた「いももち」があります。他には「でんぷんかき」という、片栗粉を水で溶き、熱湯を注ぎ糊化させたお菓子があります。病人や高齢者の飲み物として、片栗粉でとろみをつけることで嚥下しやすくなります。

【レシピ】

子どものおやつに向く「ミルクくずもち」を紹介します。

◆材料(2人分)

牛乳・・・・・・・・・・300ml

片栗粉・・・・・・・・・大さじ6

砂糖・・・・・・・・・・大さじ4

きな粉・・・・・・・・・大さじ2

沖縄の海水塩青い海・・・少々

黒蜜・・・・・・・・・・適量

◆作り方

①   鍋に片栗粉と砂糖を入れて混ぜる。

②   牛乳を少量ずつ加えて混ぜ、火にかける。

③   焦がさないように気をつけながら、ぽってりするまで木べらで混ぜる。

④   ぽってりしてきたら火からおろし、水でぬらしたココットに入れ、熱を取る。

⑤   冷蔵庫で冷やして、きな粉に沖縄の海水塩青い海を少量混ぜたものをかけ、黒蜜をお好みでかける。

片栗粉は料理にとろみをつけるだけでなく、から揚げや飲み物、デザートにも使えますので、もっと料理に活用しましょう。

パッションフルーツ

パッションフルーツは、つる性の多年生、トケイソウ科の果物です。別名は果物時計草(クダモノトケイソウ)といいます。パッションフルーツのパッションは「情熱」と思う人が多いかもしれませんが、この場合のパッションとは「キリストの受難」のことで、花の形が十字架にかけられたイエスキリストの姿と似ていることから名付けられました。日本ではパッションフルーツの花が「時計」に見えたので「トケイソウ(クダモノトケイソウ)」と呼ばれています。果実は濃い赤紫色で、長さ5~10cmくらいの卵形に近い球形です。果実には種を包んだゼリー状の果肉と果汁が入っています。よい香りがあり、ジューシーで甘酸っぱい味わいです。旬は6月から8月です。

【歴史】

パッションフルーツの原産地はブラジルで、アメリカ大陸の亜熱帯地域に自生していたものと言われています。世界に広まったのは17世紀以降です。「パッション」の名がついたのもこの頃で、1610年にスペイン人の宣教師が南米を旅行中にこの花を見て「パッションフラワー」と名付けたそうです。日本には18世紀頃(明治時代)に導入されました。おもな産地は鹿児島県の奄美大島や沖縄県、東京都の小笠原諸島などの亜熱帯地方です。

【生産地】

平成29年(2017年)産の国内のパッションフルーツ収穫量は、1位鹿児島県321トン、2位沖縄県127トン、3位東京都13トンとなっています。(農林水産省・平成29年産特産果樹生産動態等調査より)

【種類】

パッションフルーツには紫色種と、黄色種があります。その他にパッションフルーツの仲間に「ミズレモン」があります。

①   紫色種

一般的に多く流通している品種です。果皮は濃紫色で、熟すると特有の芳香が強くなり、酸味は程よく含まれて糖度は約16度と甘味が強くなります。輸入先はアメリカやニュージーランドです。日本では鹿児島県や沖縄県などで栽培されています。

②   黄色種

黄色い果皮をした種類で、味は紫色種とあまり変わりません。糖度は約14度で、完熟するとジューシーで香りがよくて甘味と酸味の調和した濃厚な味わいです。

③   ミズレモン

濃黄色からオレンジ色の果皮で、糖度は約19度と高く、酸味が弱くまた独特の香りが特徴です。

【選び方】

①   フルーティーな甘酸っぱい香りがあるものを選びましょう。

②   果皮に艶があり全体にまんべんなく色付いているものを選びましょう。

③   手にもって重みを感じられるものを選びましょう。

【食べ頃】

果皮がツルツルで香りがないものは、室温でしばらく置いて追熟させましょう。果皮にシワが出て香りが強くなったら、酸味が少しやわらいで食べ頃です。冷蔵庫で冷やして食べましょう。

【食べ方】

パッションフルーツは、半分に切ってスプーンで果肉をすくって食べるのが一般的な食べ方です。果肉の中には種が入っていますが、そのまま食べても大丈夫です。果肉をそのままヨーグルトやアイスクリームにかけたり、ドレッシングに使うこともできます。他にはジューサーにかけてジュースやスムージーにしたり、果肉部分を目の細かい裏ごしで種を取り除けばフレッシュなピューレになり、それを利用してゼリーやムース、シャーベット、カクテルなどを楽しむことができます。

【栄養】

パッションフルーツにはβ-カロテンが豊富に含まれています。100g当たり1100μgと果実類の中ではトップクラスの多さです。その他にはカリウムやビタミンC、ビタミンB6、葉酸も多く含まれています。ポリフェノールの一種でアンチエイジング効果が期待できるピセアタンノール、疲労回復に役立つクエン酸なども含まれています。

「パッションフルーツ 果汁 生 100g当たりの成分」

エネルギー64kcal、水分82.0g、たんぱく質0.8g、脂質0.4g、炭水化物16.2g、食物繊維総量0g、カリウム280mg、カルシウム4mg、マグネシウム15mg、リン21mg、鉄0.6mg、亜鉛0.4mg、マンガン0.1mg、β-カロテン当量1100μg、ビタミンB6 0.18mg、葉酸86μg、パントテン酸0.63mg、ビタミンC16mg。

(『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』)

【料理】

簡単に作れる「パッションフルーツゼリー」を紹介します。

◆材料(2個分)

パッションフルーツ・・・2個

粉ゼラチン・・・・・・・小さじ1/2

水・・・・・・・・・・・大さじ1

砂糖 ・・・・・・・・・・大さじ2

水・・・・・・・・・・・80ml

◆作り方

① ゼラチンに水大さじ1を入れて混ぜ、ふやかしておく。

② パッションフルーツの両端を10円玉くらいの形に薄く切って、安定するようにする。

③ パッションフルーツを半分に切る。

④  ①に砂糖と水80mlを加えて、電子レンジで1分加熱する。

⑤  パッションフルーツの果肉をスプーンですくい出し、④に入れて電子レンジで40秒加熱する(果肉を取った後の果皮はゼリー容器として使用する)。

⑥  パッションフルーツの容器に⑤を入れて、冷蔵庫で冷やし固める。

今が旬の甘酸っぱいパッションフルーツを美容と健康に役立てましょう。