島胡椒「ピィパーズ」
category:シママース通信
2017年5月23日
沖縄の香辛料は、亜熱帯気候の影響か独特の風味や濃いコクを感じると言われます。
島唐辛子や島生姜、島にんにく、ウコンなどがあります。
島胡椒・ピィパーズも沖縄の香辛料として昔から利用されてきました。
ピィパーズは、ナガコショウ(コショウ科)のことです。
和名でヒハツモドキ、英名でロングペッパーを言います。
英名を和訳したのはジャワナガコショウをさしています。
似ているために間違えやすいのは、インドナガコショウです。
ピィパーズは、南アジアが原産の常緑つる性植物です。来歴は不明です。
沖縄本島・八重山諸島・宮古島で帰化しています。
樹木や石垣塀に着生し、葉は狭卵形で光沢があり暗緑色で、茎と枝は緑色で、梢部分で開花結実します。
実は円筒形で先端は細くなっていてコショウの香りがします。
沖縄の方言では、ピーヤシ、ピパーチ、ピパーツ、ヒバーチ、フィファチなどたくさんの呼び名があります。
ピィパーズは石垣島方言での呼び名です。
ピィパーズの主な産地は、石垣島です。
八重山地方では民家の石垣に生えているので身近な食材として、若葉や実が利用されてきました。
ピィパーズの若葉は、硬ジューシー(炊き込みご飯)や天ぷらで、乾燥実は胡椒として八重山そばにかけ、生実はすりおろしてワサビのように刺身に利用してきました。
沖縄本島では、中身の吸物(中身は豚の内臓のこと)や山羊汁にピィパーズの実の粉末を、またナントゥ餅(味噌餅)の風味を引き立てる香辛料として使っています。
私は、ピィパーズを生かす会という団体に所属して、ピィパーズ料理を開発・レシピ集の監修をしております。
ピィパーズはシナモンの様な甘い香りと、ピリッとする辛さが特徴です。
簡単な使い方は、乾燥実(粉末)をコーヒーやかちゅー湯、スープ、チャンプルーなどに振りかけます。
実や葉は、魚のマース煮(塩煮)に加えて煮ると魚臭さが消えます。ピィパーズを加えることで風味が高まり、コクも強くなり、ほどよい辛さで美味しくなります。
また、お菓子ではクッキーや塩ちんすこう(沖縄の焼き菓子)の材料として少量加えるとピリッと辛くて癖になる味になります。
このようにピィパーズは、いろいろな料理に使うことができる汎用性の高い香辛料です。
また、ピィパーズの効能については次のようにあげられています。
① 体温を上げる。
② 辛味成分ピペリンが血流をよくし、冷えを改善する。
③ 食欲を増進させる。
④ 毛細血管の改善、美肌に効果。
一昨年からNHKテレビ番組等で、沖縄・石垣島でとれるピィパーズの実の成分が、加齢による毛細血管の変化を改善し美肌に効果のある食品として紹介されました。
その結果、ピィパーズは人気急上昇となり需要が増加したために、現在その加工所は在庫がほとんどない状態となっています。
ピィパーズは、大量生産できる香辛料ではない為に、今後は沖縄本島内でも計画栽培を進めていく方向へとピィパーズを生かす会では取り組んでいます。
沖縄の島胡椒・ピィパーズは、料理の風味を高め、健康や美容にもよい香辛料です。
塩と混ぜて普段のお料理に使うと摂取することができます。但し、1日の摂取量はスプーン1杯(2g)までです。
沖縄には隠れた食材がたくさんあると言われます。このピィパーズもそのひとつでありましたが、今では沖縄の宝物と表現される位に注目されるようになりました。
今後も、ピィパーズのような沖縄の食材を大切に守りお伝えして行きたいと思います。
山城 尚子
<管理栄養士・ソルトコーディネーター・だしソムリエ認定講師> 第1回「石垣島ピパーツレシピコンテスト」石垣市観光協会長賞、第27回新報音楽コンクール第2位(声楽)。
沖縄の塩の美味しさと素晴らしさを伝えたいと、積極的に塩を紹介しています。塩は料理のまとめ役で、食材と塩の組み合わせが良いと、塩の量を少なくでき、美味しさがアップします。
沖縄県民の健康を願い、美味しくキレイに痩せるダイエット料理や料理の基本となるだしを使った風味豊かな料理を提案しています。栄養と音楽と美容の三本柱で活動していきます。沖縄の心を料理で表現したいと心がけています。
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