ラード

ラード

category:調味料の知恵袋

2019年7月23日

 

 

ラードは豚の内臓脂肪、背油などの脂肪部分を精製したもので、豚脂(とんし)ともいいます。常温では白色のクリーム状で、融点は28~48℃です。日本農林規格では、精製した豚脂100%の「純製ラード」と、牛脂やパーム油などの食用油脂を調合した「調製ラード」に分類しています。家庭で使用するものは、純製ラードです。料理に独特の風味とコクを加えます。揚げ物や炒め物、お菓子、ラーメンのスープなどに使われます。沖縄伝統菓子の「ちんすこう」や「サーターアンダギー」の材料にも使用されています。

【選び方】

①   料理に合わせて容量を選びます。チャーハンや炒め物などの場合の使用量は少ないので、早く使い切れるようなチューブタイプをおすすめします。また、揚げ物などの比較的大量に使う場合は、業務用タイプを選びます。

②   使いやすい容器の形状を選びます。手軽に使えるのはチューブ入りで、使いたい分を少量ずつ出せます。また、バターのようにアルミ箔に包まれたものや、マーガリンのように容器に入っているものもあります。揚げ物に使うなど大量に使う場合は、一斗缶タイプ(約18リットル入り)もありますので、どんな料理に使うことが多いかで選びましょう。

【保存】

開封後は直射日光と高温多湿を避けて冷暗所におくと1か月くらいは常温で保存ができます。長期間室温に置くと風味が落ちますので、冷蔵庫で保存することをおすすめします。冷蔵庫保存するとカチカチに固まりますが、使う前に常温に戻せば柔らかくなります。急ぐ場合は、湯煎します。早めに使い切りましょう。

【沖縄とラード】

沖縄の食文化の文献を見ると、次のようなラード(豚脂)を調味料として使っていたという記述がありましたので、ご紹介します。

「沖縄では昔、「あんだたりーん」といって、各家庭で豚脂をしぼり、独特のあんだちぶー(油壺)に入れて備える。豚脂は塩や味噌と同じように調味料の役割を果たし、豚脂を使うことにより料理にうまみが出る。暑い沖縄では、消耗する体力を補うために欠くことのできない必需品である。」(出典:『聞き書 沖縄の食事』日本の食生活全集47、「日本の食生活全集 沖縄」編集委員会 代表尚弘子、昭和63年、農山漁村文化協会)

「油脂の入手が難しかった頃、豚の背脂肪や腹脂肪から搾ったラードは大変貴重な調味料であり、栄養源にもなっていた。豚の脂肪を3cm角程に切って鍋に入れ、少量の水を加えて煮溶かし、布で濾したものが冷えると真っ白な上質なラードになる。これをアンダガーミと呼ばれる油壺に保管し、日々の糧であるみそ汁、ソーメン汁、チャンプルー等に大切に使われていた。」(出典:『復活のあぐー 琉球に生きる島豚の歴史と文化』、平川宗隆、2016年、ボーダインク)

上の2つの文献では、沖縄の人たちにとってラードは高温多湿の亜熱帯気候を乗り越える体力をつける貴重な品でした。また油壺に入れて大切に使っていました。この2つの文献では、油壺の方言が「あんだちぶー」と「アンダガーミ」と違いがあります。これは時代や地域によって油壺の呼称が異なるためだと思われます。

【栄養】

植物性のサラダ油やバターなどに比べ、酸化しにくいのが特徴です。高カロリーですので、摂り過ぎに注意しましょう。

「ラード 100g当たり」

エネルギー948kcal、水分0g、たんぱく質0g、脂質100g、飽和脂肪酸39.29g、一価不飽和脂肪酸43.56g、多価不飽和脂肪酸9.81g、炭水化物0g、カリウム0mg、カルシウム0mg、マグネシウム0mg、リン0mg、鉄0mg、マンガン0mg、ビタミンD 0.2μg、ビタミンK 7μg、葉酸0μg、パントテン0酸mg。

(『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』)

【ラードのとり方】

自分でラードをとる場合、生脂肪を細かく刻み、脂肪1kgに対して、水カップ1/2杯の割合で鍋に入れ、強火にかけます。腹脂肪を使うのが一番よく、ついで背脂肪がよいです。あぶら身が鍋にくっつかないようにかき混ぜながら煮ます。あぶらがなくなってくると、カスは上へ浮かんできます。カスがきつね色になったころに火を止め、カスだけを網ですくい上げます。あとに残ったあぶらを十分に冷ますとクリーム色のラードがとれます。

今回は、沖縄菓子で有名な「塩ちんすこう」をご紹介します。簡単に作れますのでお試しください。

◆材料(4人分)

小麦粉(薄力粉)・・・・・・ 80g

ラード・・・・・・・・・・・40g

砂糖・・・・・・・・・・・・40g

沖縄の海水塩青い海・・・・・小さじ1/6

◆作り方

①   薄力粉をふるっておく。

②   ボウルにラードと砂糖、沖縄の海水塩青い海を入れてよく混ぜる。

③   ②に①を加え、混ぜ合わせてまとめる。

④   生地を丸め、手で押して厚み1cmにする。

⑤   170度に予熱したオーブンで8~10分焼く。網に取り出して冷ます。

料理に風味やコクを出すラードを、いろいろな料理に調味料として使ってみてはいかがでしょう。

山城 尚子

<管理栄養士・ソルトコーディネーター・だしソムリエ認定講師>

 第1回「石垣島ピパーツレシピコンテスト」石垣市観光協会長賞、第27回新報音楽コンクール第2位(声楽)。
 沖縄の塩の美味しさと素晴らしさを伝えたいと、積極的に塩を紹介しています。塩は料理のまとめ役で、食材と塩の組み合わせが良いと、塩の量を少なくでき、美味しさがアップします。
 沖縄県民の健康を願い、美味しくキレイに痩せるダイエット料理や料理の基本となるだしを使った風味豊かな料理を提案しています。栄養と音楽と美容の三本柱で活動していきます。沖縄の心を料理で表現したいと心がけています。

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