チーズ
category:シママース通信
2020年5月12日
チーズは、牛乳の他、水牛、羊、山羊などの乳汁に凝乳酵素「レンネット」や乳酸菌を加えて固め、凝固物をそのまま、あるいは熟成させて作ったものです。日本語の漢字表記は、乾酪(かんらく)です。日本国内でのチーズの消費量は年々増加しています。農林水産省の発表した2018年度「チーズの需給表」によると、消費量は352,930トンとなり前年度を上回っていて過去最高になっています。チーズの人気は高まっています。
【原産地と歴史】
2012年に紀元前5000年頃の世界最古のチーズ製造の痕跡がポーランドで発見されたことから、チーズの発祥はポーランドではないかと言われています。人類最古のチーズの原料は山羊乳であり、また現在でもポーランドでは多数の山羊乳チーズ(シェーブルチーズ)が製造されています。
日本で最初のチーズは「蘇(そ)」という牛乳を煮詰めたもので、飛鳥時代に製造されました。そして蘇を発酵させた「醍醐(だいご)」と呼ばれるものもありました。日本において本格的なチーズが製造されたのは、1875年北海道開拓庁の試験場においてでした。1933年に日本に初めてチーズ工場が設立され。1951年頃にはプロセスチーズの製造が始まりました。日本人にチーズが親しみやすくなったのは、1970年~1980年代のピザやチーズケーキなどのブームでした。
【種類】
チーズは大きく分けるとナチュラルチーズ(加熱処理されていないもの)と加工したプロセスチーズがあります。チーズは種類が多いのですが代表的な8種類を紹介します。
① フレッシュタイプ・・・クリームチーズなど、チーズをつくる最初の段階でできるのがフレッシュチーズです。酸味と爽やかな風味が特徴で熟成させないので、新しい程美味しく食べられます。
② 白カビタイプ・・・カマンベールなど、白カビを表面に植えつけて、外側から内側に熟成させるチーズです。熟成が進むと中身が柔らかくなります。
③ 青カビタイプ(ブルーチーズ)・・・ゴルゴンゾーラなど、内部に青カビを植えつけて熟成させるチーズです。風味が強烈で味も濃厚で、塩味が強いのが特長です。切り口は大理石のような模様です。
④ ウォッシュタイプ・・・エポワスなど、熟成過程で外皮を塩水やワイン、ブランデーなどさまざまな液体を、定期的に拭きつけながら熟成させる風味豊かなチーズです。
⑤ シェーブルタイプ・・・ヴァランセなど、山羊の乳でつくられたチーズです。形は小型でバリエーションが多く、表面に木炭の粉をまぶしたものなど個性的なチーズが多いです。
⑥ セミハードタイプ・・・ゴーダなど、チーズを作る工程で、カード(凝乳)を圧搾して水分を少なくした、半硬質に仕上げたチーズです。
⑦ ハードタイプ・・・チェダーやパルミジャーノ・レッジャーノなど、セミハードタイプチーズよりももっと水分を少なくした硬質で、大きく重量感のあるチーズです。長期の熟成により濃厚なうま味があります。
⑧ プロセスチーズ・・・数種類のナチュラルチーズを粉砕、加熱溶解し、再び成形したものです。加熱処理しているため、乳酸菌が死滅しています。ナチュラルチーズに比べて保存性に優れています。
【パルメザンチーズ】
日本では粉チーズというとパルメザンチーズのイメージがあります。パルメザンチーズは、アメリカでパルミジャーノ・レッジャーノ風につくられたチーズです。日本にはアメリカから粉チーズの形で入ってきたので、一般的に粉状のチーズをまとめてパルメザンチーズと呼んでいることが多いのです。
【使い方】
調理に使う場合は、ナチュラルチーズ、プロセスチーズのどちらでもよいのですが、加熱して溶けるものが料理と馴染みやすいです。また、料理に振りかけるときは、チーズおろし器でおろすか、できるだけ細かく刻むと使いやすいです。市販の粉チーズを使うと便利です。
【活用法】
ピザ、グラタン、パスタ、カプレーゼ(イタリアのサラダ)、チーズケーキ、チーズクリーム、チーズフォンデュー、ラクレット、ディップ、ドレッシング、ソース、炒め物、煮込み料理、チーズタッカルビなどと広範囲に使えます。
【保存】
一般的なチーズの保存方法は冷蔵庫です。冷蔵庫は乾燥しやすいので、切り口をラップで丁寧に包んで入れます。シェーブルタイプはむれると嫌な臭いを発するので緩めに包みます。更に、ラップした後に密閉容器に入れて保存するとよいです。また、湿度の高い野菜室に保存するのがおすすめです。ほとんどのチーズは冷凍すると風味や舌触りが変化します。冷凍できるチーズは、加熱して使うレッドチーズ(ピザやグラタン用)です。小分けにすると便利です。
【栄養】
チーズのたんぱく質は、牛乳そのもののたんぱく質であるために良質で、酵素によって消化しやすい形になっています。また、ナチュラルチーズは乳酸菌が生きたまま残存しているので、腸内でこの菌が増え、ビタミンB2を生産して吸収利用されます。日本人はカルシウム不足と言われています。チーズにはカルシウムが多く含まれていますので、少量でもカルシウムの供給源となります。
日本で一般的に食べられている「プロセスチーズ」の栄養成分を次にあげます。
「プロセスチーズ 可食部100g当たりの成分」
エネルギー339kcal、水分45.0g、たんぱく質22.7g、脂質26.0g、炭水化物1.3g、食物繊維総量0g、ナトリウム1100mg、カリウム60mg、カルシウム630mg、マグネシウム19mg、リン730mg、鉄0.3mg、亜鉛3.2mg、β-カロテン当量230μg、ビタミンK 2μg、ビタミンB1 0.03 mg、ビタミンB2 0.38mg、ビタミンB12 3.2 mg、葉酸27μg、ビタミンC 0mg、食塩2.8g。
(『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』)
【料理】
「チーズリゾット」を紹介します。残ったごはんで簡単につくれます。
◆材料(2人分)
残ったご飯・・・・・・・・300g
玉ねぎ(スライス)・・・・・80g
ベーコン(1cm角切り)・・2枚
しめじ・・・・・・・・・・40g
にんにく(みじん切り)・・1片分
バター・・・・・・・・・・10g
かつおだし・・・・・・・・300ml
牛乳・・・・・・・・・・・200ml
チーズ(溶けるタイプ)・・ 2枚
沖縄の海水塩青い海・・・・小さじ1/5
こしょう・・・・・・・・・少々
粉チーズ・・・・・・・・・適量
◆作り方
① フライパンにバターを溶かし、にんにくを炒めて香りが出たら、玉ねぎを炒める。沖縄の海水塩青い海、こしょうをふり混ぜる。
② 玉ねぎが透明になったら。しめじ、ベーコンを入れ炒める。
③ ②にご飯を入れて軽く炒め、かつおだしを入れて2~3分煮る。
④ 水分が少なくなったら牛乳とチーズを入れて混ぜる。器に盛って、粉チーズを振る。
良質たんぱく質とカルシウムを含むチーズを毎日の食事に取り入れて楽しみましょう。
山城 尚子
<管理栄養士・ソルトコーディネーター・だしソムリエ認定講師> 第1回「石垣島ピパーツレシピコンテスト」石垣市観光協会長賞、第27回新報音楽コンクール第2位(声楽)。
沖縄の塩の美味しさと素晴らしさを伝えたいと、積極的に塩を紹介しています。塩は料理のまとめ役で、食材と塩の組み合わせが良いと、塩の量を少なくでき、美味しさがアップします。
沖縄県民の健康を願い、美味しくキレイに痩せるダイエット料理や料理の基本となるだしを使った風味豊かな料理を提案しています。栄養と音楽と美容の三本柱で活動していきます。沖縄の心を料理で表現したいと心がけています。
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