片栗粉(かたくりこ)

片栗粉(かたくりこ)

category:調味料の知恵袋

2020年7月28日

片栗粉は、本来はカタクリ(ユリ科)の球根からとったでんぷんですが、生産量が少なく、市販品のほとんどはジャガイモ(馬鈴薯=ばれいしょ)でんぷんです。調理(料理のとろみつけや餡かけ、唐揚げの衣、麺類など)や和菓子の材料として使用されます。調理では、粉のままでなく水溶きして加え、とろみをつけることが多いです。しかし近年では、水溶きせず直接料理に振りかけるだけでとろみがつく「顆粒片栗粉」や、「米粉入り片栗粉」も製造・販売されています。

【歴史】

昔は文字通り、日本北東部の原野などに自生するカタクリの根茎から製造しました。江戸時代の中期、奈良県宇陀市の森野旧薬園では、薬園の近隣にカタクリが自生していたため、専売権を得て片栗粉を製造し、幕府に献上していたといわれています。江戸時代、片栗粉は食用だけではなく、消化がよいことから病後の滋養薬としても使われていました。しかし、カタクリから作られるでんぷんは少量でしたので、カタクリが多く採取されたことで、江戸時代末期には自生カタクリが激減しました。このような中、明治時代以降、北海道開拓が進み、ジャガイモ栽培が奨励され、ジャガイモでんぷんが安価で大量に出荷されるようになったことにより、その後片栗粉はほとんどジャガイモでんぷんに切り替わりました。名称はそのまま残りました。

【原料ジャガイモの生産地】

国産だと北海道産のジャガイモが主流です。海外産の原料のジャガイモは、ドイツ、デンマーク、オランダ、フランス産が主です。

【片栗粉の特徴】

①   糊化する温度が低い:火を止めた後に片栗粉を加えるだけでとろみがつきます。

②   粘度(とろみ)が高い:冷めにくく、保温状態になります。調味料が食材によく絡みます。熱い料理を好む中国ではあんをからめた料理を溜菜(リュウツァイ)と呼び、八宝菜や酢豚などの料理に片栗粉を利用します。

③   透明度が高い:料理の食材の色を損ねないです。

④   食材の表面をコーティングする:魚や肉の旨味や栄養を閉じ込めます。

⑤   片栗粉は無味無臭です。

⑥   仕上がりに艶を出します。

⑦   油脂を乳化させ、脂っこさを軽減します。

⑧   料理に加える調味料の種類によって固さが変わります。油と砂糖は固くなり、酢と塩は柔らかくなります。

【使い方】

・片栗粉は水に溶けにくい性質がありますので、生地を練る際の打ち粉としても使います。

・とろみをつける場合は、粉の状態ですとダマになりやすいので、混ざりやすくするために、先に水に溶いておき、少量ずつ混ぜてとろみをつけます。とろみがついた片栗粉は色が白から透明になります。料理の色彩を邪魔しないのも特徴です。

・片栗粉は水に溶けにくい性質ですので、時間が経つと片栗粉と水が分離しますので、使う直前に混ぜましょう。

・片栗粉を使って揚げ物をすると、衣は白く、歯ごたえはカリッとした食感になります。

・肉や魚の表面に片栗粉を薄くつけて加熱すると、旨味を閉じ込めて、口当たりをよくするという効果があります。

・ひき肉や魚のすり身などのつなぎとして加えることで、バラバラになることを防ぎ、固める役割をします。

【保存】

開封前は、高温多湿な場所を避けて、直射日光が当たらず、乾燥している場所に置きましょう。開封後は、湿気や臭い移りやコナダニ対策のためにも、片栗粉の袋ごと密閉容器や保存用袋に入れて、冷蔵庫で保存しましょう。

【栄養成分】

でんぷんによる炭水化物がほとんどで、タンパク質はわずかしか含みません。通常、料理に片栗粉を1回用いる際は、10g程度なのでダイエットには大きく影響することはありません。

「じゃがいもでんぷん(片栗粉)100g当たり」

エネルギー330kcal、水分18.0g、たんぱく質0.1g、脂質0.1g、炭水化物81.6g、食物繊維総量0g、ナトリウム2mg、カリウム34mg、カルシウム10mg、マグネシウム6mg、リン40mg、鉄0.6mg、銅0.03mg。

(『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』)

【料理】

 中華料理の八宝菜、酢豚、麻婆豆腐、かに玉などにとろみつけとして用いられます。また、揚げ物の調理粉としては唐揚げや竜田揚げにします。ジャガイモでんぷん(片栗粉)を原料とした片栗粉麺があります。小麦粉ではなくジャガイモでんぷんを原料とした「でんぷんうどん」が北海道の農村地帯の郷土料理としてあります。その他に炒り卵にひとつまみの片栗粉を入れてフワフワの食感にしたり、加熱したジャガイモに片栗粉を入れて練り、焼き上げた「いももち」があります。他には「でんぷんかき」という、片栗粉を水で溶き、熱湯を注ぎ糊化させたお菓子があります。病人や高齢者の飲み物として、片栗粉でとろみをつけることで嚥下しやすくなります。

【レシピ】

子どものおやつに向く「ミルクくずもち」を紹介します。

◆材料(2人分)

牛乳・・・・・・・・・・300ml

片栗粉・・・・・・・・・大さじ6

砂糖・・・・・・・・・・大さじ4

きな粉・・・・・・・・・大さじ2

沖縄の海水塩青い海・・・少々

黒蜜・・・・・・・・・・適量

◆作り方

①   鍋に片栗粉と砂糖を入れて混ぜる。

②   牛乳を少量ずつ加えて混ぜ、火にかける。

③   焦がさないように気をつけながら、ぽってりするまで木べらで混ぜる。

④   ぽってりしてきたら火からおろし、水でぬらしたココットに入れ、熱を取る。

⑤   冷蔵庫で冷やして、きな粉に沖縄の海水塩青い海を少量混ぜたものをかけ、黒蜜をお好みでかける。

片栗粉は料理にとろみをつけるだけでなく、から揚げや飲み物、デザートにも使えますので、もっと料理に活用しましょう。

山城 尚子

<管理栄養士・ソルトコーディネーター・だしソムリエ認定講師>

 第1回「石垣島ピパーツレシピコンテスト」石垣市観光協会長賞、第27回新報音楽コンクール第2位(声楽)。
 沖縄の塩の美味しさと素晴らしさを伝えたいと、積極的に塩を紹介しています。塩は料理のまとめ役で、食材と塩の組み合わせが良いと、塩の量を少なくでき、美味しさがアップします。
 沖縄県民の健康を願い、美味しくキレイに痩せるダイエット料理や料理の基本となるだしを使った風味豊かな料理を提案しています。栄養と音楽と美容の三本柱で活動していきます。沖縄の心を料理で表現したいと心がけています。

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