煎り酒(いりざけ)

煎り酒(いりざけ)

category:調味料の知恵袋

2020年10月27日

煎り酒は、醤油よりも歴史の古い日本伝統の万能調味料です。酒を煮立てて、アルコール分を飛ばし煮詰めたもので酒ではありません。醤油が普及する以前に、室町時代に考案され、江戸時代の中期まで垂れ味噌とともに広く用いられました。醤油は保存がしやすく、江戸の肉体労働者たちには塩分の強さが好まれたようです。江戸中期には醤油の普及とともに、煎り酒は一般的に使われなくなったので幻の調味料とも言われます。しかし、2015年頃から煎り酒が少しずつブームになり、マスコミに紹介されるようになりました。煎り酒は様々な料理に使えて、醤油よりも塩分が少ないことから健康意識の高い人を中心に人気が広がっています。煎り酒を使うと醤油の濃い味や風味とは違い、素材を生かした味わいとなります。煎り酒は家庭でも手軽に作れます。本来の煎り酒の材料は日本酒に梅干しですが、現在は昆布やかつお節で風味やうま味を加えているものが多いです。また、味の調整で魚醤や塩を加える場合もあります。市販品の原材料には、醤油や白醤油、みりんなどを加えてアレンジされたものも販売されています。

【特徴】

煎り酒は醤油と比較すると塩分含有量が少ないのですが、かつお節などを加えることで、うま味(かつお節のうま味成分はイノシン酸)が出て美味しいのです。減塩対策として醤油の代わりに使えます。ちなみに醤油大さじ1杯の食塩量は約2.6gに対して、煎り酒(今回のレシピ)大さじ1杯の食塩量は約0.8gです。うま味を濃くすることで、醤油や味噌の量を減らしても料理の味が濃く感じられますので塩分の摂取量を減らすことができます。

また、煎り酒の原料には梅干しが含まれていますので、酸味が加わって塩分が少なくても美味しく感じます。梅干しの酸味は、後味をさっぱりさせて魚の臭みを消します。更に梅干しにはクエン酸が含まれているので、疲労回復効果も期待できます。

 

【使い方】

魚の臭み取りや下味付け、鯛やヒラメなどの白身魚の刺身のつけだれ、冷奴、酢の物、煮物、炒め物、照り焼き、焼肉、卵かけご飯、だし巻き卵、吸い物、豆腐料理、納豆、鍋物、煎り酒ご飯、ドレッシングやマヨネーズ、ケチャップに足して使う等もできます。

【保存】

手作りの煎り酒の場合は、長期の保存に向かないので冷蔵庫で約2週間を目安に使いきりましょう。また市販の煎り酒は、開栓後は冷蔵庫で保存し、早めに使用しましょう。

【栄養】

煎り酒は「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」に掲載されていない食品です。下の成分の値は【レシピ】より算出しました。

「煎り酒」(100g当たりの成分)

エネルギー217kcal、たんぱく質2.4g、脂質0.1g、炭水化物8.8g、食物繊維総量0.5g、カルシウム15mg、鉄0.5mg、ビタミンB1 0.01mg、ビタミンB2 0.01 mg、ナイアシン0.8mg、ビタミンC 0mg、食塩4.3g。

【レシピ】

自家製「煎り酒」の作り方を紹介します。

◆材料(でき上がり分量100ml分)

日本酒(純米酒)・・・・・・・・200ml

梅干し・・・・・・・・・・・・・大1個

沖縄の海水塩青い海・・・・・・・小さじ1/6

かつお削り節・・・・・・・・・・2g

◆作り方

① 小鍋に日本酒、潰した梅干し(種ごと)、沖縄の海水塩青い海を入れ、日本酒が半分量になるまで弱火で煮詰めます。かつお削り節を加えて、さらに5分間弱火で煮詰めます。

② ①を火からおろして粗熱をとり、キッチンペーパーをしいたザルで濾します。

③ 1日おいて味を馴染ませてから、煮沸消毒した容器に入れ、冷蔵庫保存します。約2週間で使い切ります。

自家製の煎り酒を作って、減塩に活用してみてはいかがでしょうか。

山城 尚子

<管理栄養士・ソルトコーディネーター・だしソムリエ認定講師>

 第1回「石垣島ピパーツレシピコンテスト」石垣市観光協会長賞、第27回新報音楽コンクール第2位(声楽)。
 沖縄の塩の美味しさと素晴らしさを伝えたいと、積極的に塩を紹介しています。塩は料理のまとめ役で、食材と塩の組み合わせが良いと、塩の量を少なくでき、美味しさがアップします。
 沖縄県民の健康を願い、美味しくキレイに痩せるダイエット料理や料理の基本となるだしを使った風味豊かな料理を提案しています。栄養と音楽と美容の三本柱で活動していきます。沖縄の心を料理で表現したいと心がけています。

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