バルサミコ酢

バルサミコ酢

category:調味料の知恵袋

2020年12月22日

バルサミコ酢は、原料にブドウ濃縮果汁を使用した果実酢のひとつです。「黒い黄金」や「高貴な酢」と呼ばれ珍重されているイタリアの特産品です。「バルサミコ」はイタリア語で「芳香がある」という意味です。色は茶色を濃くした黒色で、コクのある味わいで料理を格上げしてくれます。製造方法はブドウ濃縮果汁を、木の樽で長期間熟成され、木の樽の香りを移しながら作られますので独特の香りがあります。熟成の過程で自然に蒸散して量が減っていくので、異なる木材でできた樽(オーク、クワ、クリ、アカシア、サクラなど)に移し替えながら熟成させます。樽に使う木材の種類や移し替える回数で風味が変化するため、生産者はそれぞれ工夫を凝らしながら特徴を出すそうです。伝統的なバルサミコ酢は、最低12年の熟成期間が必要とされます。長い熟成の結果、香りも強くなります。

バルサミコ酢は、サラダドレッシング、イタリア料理の味付けや隠し味に、肉や魚介類を焼いた時にソースの材料として使われます。また、他の食酢にはない甘味があるので、イチゴやイチジクなどの果実やアイスクリームのトッピングなどにも使われます。

【歴史】

その昔、バルサミコ酢造りはモデナ(イタリア北東部の都市)の貴族や裕福な人の趣味でした。それは砂糖がなかった頃、甘味料は貴重品で、砂糖の代わりにハチミツやモストコット(ブドウ果汁を煮詰めたもの)を使用していました。バルサミコ酢造りは、その貴重なものを造るために、何年も酢になるまで寝かせておく財力を持っていた者の特権だったそうです。今でもモデナはバルサミコ酢の名産地です。

バルサミコ酢が文献に初めて登場するのは、11世紀に神聖ローマ皇帝ハインリヒ3世が、ローマ教皇クレメンス2世の戴冠式のお祝いに、バルサミコ酢を樽ごと贈られたことです。その頃からすでに財産に匹敵する高級品だったことが分かる逸話です。18世紀にエステ家がモデナに拠点を移した後、18世紀頃から「バルサミコ」という名前が使われるようになりました。19世紀の始め頃に、このエステ家のモデナ公がヨーロッパ各国の元首へバルサミコ酢を贈り物に用いたことから、「公爵の酢」と呼ばれるようになりました。

【種類】

バルサミコ酢には赤と白の2種類があります。

①   赤バルサミコ酢・・・赤ブドウと白ブドウを混ぜて作ります。オリーブオイルと合わせたドレッシングが定番で、トマトや葉野菜を使ったサラダや肉料理、ローストした野菜に合います。赤バルサミコ酢は木樽に寝かせて、自然な状態で熟成させて作ります。長期熟成は赤バルサミコ酢です。別名黒バルサミコ酢と呼ばれるものは、熟成が更に長いために濃い黒色に変化したものです。

②   白バルサミコ酢・・・白ブドウが原料です。色は薄い茶色で透き通っています。爽やかなすっきりとした甘さです。野菜サラダや白身魚のソテーに使うと、素材の色や味を活かして食べることができます。

【バルサミコ酢とワインビネガーについて】

バルサミコ酢とワインビネガーは、どちらも原料にブドウを使っている果実酢です。バルサミコ酢はイタリア発祥の調味料で、ワインビネガーはフランス発祥の調味料です。ワインビネガーの製造方法は、搾汁したブドウ果実にワイン酵母を加え、ワインもろみを醸造します。醸造したワインもろみに酢酸菌を加え、樽内の空気に触れさせながら発酵させます。こうしてできあがったワインビネガーにワインを継ぎ足し、熟成することを繰り返しながら長期間熟成させます。

ワインビネガーには、赤ワインビネガーと白ワインビネガーがあります。コクがありしっかりとした味の赤ワインビネガーは、肉料理や野菜料理の隠し味として使えます。フルーティーな香りでさっぱりした味わいの白ワインビネガーは、生野菜サラダのドレッシングやカルパッチョなどの魚料理におすすめします。

【バルサミコクリームとは】

バルサミコクリームは、バルサミコ酢を更に凝縮したものです。バルサミコクリームは、味や酸味がまろやかでフルーティーで、甘さを強く感じられるようになります。とろみがあるので煮詰める必要がなく、白身魚や豚肉、鶏肉のソテーにソースとしてそのままかけることができます。また、バルサミコクリームは、お皿の上で飾りとして使え、味を変える調味料にもなります。バニラアイスやお菓子にかけると酸味が加わって、より上質な味わいになります。

【保存】

開封前は、直射日光・高温多湿を避け、涼しい場所で保存します。開封後は、瓶の口をきれいにして、酸化を防ぐためにしっかりと栓をして冷蔵庫で保存しましょう。バルサミコ酢は殺菌効果に優れて腐りにくいのですが、保存の間に酸化して味は落ちていきますので、開封したら3年位までに消費しましょう。

【栄養】

バルサミコ酢に限らず酢は胃腸を元気にし、消化を助け、代謝を促進し、疲労回復の効果があります。バルサミコ酢の利点は、カリウムやカルシウム、鉄などのミネラルが含まれていること、またポリフェノールの含量も多く、抗酸化作用が期待できます。バルサミコ酢は、カロリーが他の酢に比べて高いので使い過ぎに気を付けましょう。

「バルサミコ酢」(100g当たりの成分)

エネルギー99kcal、水分74.2g、たんぱく質0.5g、脂質0g、炭水化物19.4g、食物繊維総量0g、ナトリウム29mg、カリウム140mg、カルシウム17mg、マグネシウム11mg、リン22mg、鉄0.7mg、亜鉛 0.1mg、ビタミンB1 0.01 mg、ビタミンB2  0.01mg、ナイアシン当量0.2mg、ビタミンB6 0.05mg、ビタミンC 0 mg、食塩相当量0.1g。

(『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』)

【レシピ】

「鶏とキノコのバルサミコ酢炒め煮」を紹介します。

◆材料(4人分)

鶏手羽元・・・・・・・・・・・500g

沖縄の海水塩青い海・・・・・・少々

コショウ・・・・・・・・・・・少々

おろしニンニク・・・・・・・・2片分

酒・・・・・・・・・・・・・・大さじ2

シメジ・・・・・・・・・・・・1パック

乾しいたけ(戻したもの)・・・ 2枚

オリーブオイル・・・・・大さじ2

バルサミコ酢・・・・・・大さじ4

しょうゆ・・・・・・・・大さじ2と1/2

ハチミツ・・・・・・・・大さじ3

◆作り方

① 鶏手羽元は、フォークで刺してボールに入れて、沖縄の海水塩青い海、コショウ、おろしニンニク、酒を加えて下味をつけて30分おく。

②  フライパンにオリーブオイルを入れ熱し、鶏手羽元の皮の方から焼く。

③  ②に石づき(キノコの根元の硬い部分)を取ったシメジ、せん切りに切ったしいたけを加え、炒める。

④  鶏手羽元に火が通り、シメジがしんなりしてきたら、ハチミツ、しょうゆ、バルサミコ酢を加え、煮詰める。

バルサミコ酢を使用して香り豊かな料理にチャレンジしてみてはいかがでしょう。

山城 尚子

<管理栄養士・ソルトコーディネーター・だしソムリエ認定講師>

 第1回「石垣島ピパーツレシピコンテスト」石垣市観光協会長賞、第27回新報音楽コンクール第2位(声楽)。
 沖縄の塩の美味しさと素晴らしさを伝えたいと、積極的に塩を紹介しています。塩は料理のまとめ役で、食材と塩の組み合わせが良いと、塩の量を少なくでき、美味しさがアップします。
 沖縄県民の健康を願い、美味しくキレイに痩せるダイエット料理や料理の基本となるだしを使った風味豊かな料理を提案しています。栄養と音楽と美容の三本柱で活動していきます。沖縄の心を料理で表現したいと心がけています。

同じカテゴリの記事

同じカテゴリの投稿は見つかりませんでした。